親もいい年齢になってきた。
あと何回、一緒に過ごせるだろうか。
親が年齢を重ね、いつまでも居るとは限らないと感じてくると
自分の親子との関係を見つめ直す人は多いですよね。
今の親を見ているのに、ふと昔の思い出や過去に感じていた嫌悪感が出てきて
関係をどうにかしたいと思いながらもどうにもできないままでいる、
というお悩みはよく聞きます。
親を許せない人は多い
過去にばかり囚われているつもりはないけれど、親に対する嫌悪感がある。
幼少期の親の行動や態度が今でもどうしても許せない。
何となく親のことを考えるとイライラして優しい気持ちになれない。
子どもが成長をしていく中で、親の言っていることや行動していることに対して
疑問を覚えたり、怒りを感じたり、反抗したりするのは必要なことです。
けれどその疑問や怒りが持続して長続きしているのは、その
疑問や怒りを持つ自分を受け入れてもらえず、
否定されたり、
攻撃されたり、
無視されたり、
という納得のいかない理不尽さを
今でも親に対して抱えているからだと思います。
まして、もしも今の自分が心を許せる相手に出会っていたりすると
なぜ自分の親は親なのに、自分のこの想いを受け止めてくれず、このような扱いをしたのか?
という親に許されなかった心にしまっていた本音が噴出してきます。
心を許せる相手が居ない、と感じている人は
このように自分が今でも苦しい思いをしているのは親が受け止めてくれなかったからだ、と
親に対する嫌悪感と憎しみを抱えています。
親を受け入れたい、許したい、好きでなくてもいいからいい関係は築きたい。
親が年齢を重ねて昔と違ったとしても、本音としては今でも親を許せないと感じているんです。
なぜ、嫌いな人を好きになろうとするのか?
これは本心ではこいう言っているんです。
本当は親のことが好きではない。だけどこのまま別れてしまうには後悔が残る。
だから、好きでもない親を許せるようになりたい。
そしていい関係性を築くことで自分への愛情を今度こそ見せてほしい。
と。
本来、自分が好きでもない人から好かれる必要は本当はありません。
嫌いな人に好かれる努力ができるようになりたいのは、
そこに自分の完結していない想いが今でも心にずっと残っているからだと思います。
確かに、幼少期にもずっとひどい扱いを受けてきたわけではないと思います。
時に優しい時があった。たまには笑顔を見せてくれた。病気の時に付いててくれた。
そんな思い出が、子どもを混乱させ、罪悪感を持たせます。
あたたかい記憶が、子どもの心を苦しめます。
親に対して優しくなれない、許すことができない自分を責めてしまうんです。
自分に対して自信がなかったり、安心が持てていないと、
このように自分の感じている気持ちの方を否定して、こうあるべきという自分を選択しやすいんです。
これは親を許せないことが問題なのではありません。
親を許せない自分を、自分が許せないことが問題なんです。
幼少期に親から受け入れたれなかったと感じてきたその
孤独感
寂しさ
悲しみ
怒り
憎しみ
が今でもそのままになっていて、その気持ちを今でも自分が否定しているから
自分のことも今でもずっと許せないままでいます。
親を許せない自分を許してあげる
自分は何もできない。
必要とされていない。
無力な存在。
その思いをずっと今でも握りしめたままになっているから、過去の親を握りしめてしまいます。
今でもずっと本心では親との繋がりを求めたままなんです。
虚しさ、寂しさ、怒りで今でも親との繋がりを続けているんです。
許せないことを許せないのは、自分が被害者として生きていくことを選択しています。
だからこそ、今のままでは人間関係そのものが被害者になりやすく壊れやすくなります。
好きでもない人にさえ好かれたいと願うのは、親子関係でずっと抱えてきた自分の思いを
解決できていないからなのだと思います。
親のことを、無理やり許さなくてもいいんです。
自分が本当は何を感じ、どう思っているのかが大事です。
そして、親のことではなくまず自分が自分のことを許してあげることです。
それは、
今のそのままを周りに受け止めてもらうことではないんです。
自分が本当に感じてきた想いを自分が受け止めることです。
自分を許し、信じられるためには
自分が信じる人から受け入れてもらうこと。
信じる人が信じてくれた自分だからこそ、
人は自分を信じようと思えます。
傷ついてきた人が自分を信じられるようになるのは最後です。
まずは自分が信じられる人に出会い、安心を体感すること。
そこから自分をもう一度信じることができるようになります。
心理セラピーは、この信じられる相手と安全の空間が用意されます。
信じる勇気は自分次第になりますが、ここで感じる体感は自分の中に残ります。
ぜひ、自分で自分のことを許してあげてくださいね。