自分と他の誰かのことを
比べずにはいられない。
比べないと落ち着かない。
そしてこの「比べる」という行為は、
単に自分が相手よりも優れていることを確認するためではありません。
もちろん、そうやって人より自分が優っていると感じることができたら安心できる人もいます。
けれど心理セラピーを受ける方に多いのは、
自分は人に比べて劣っている、そう自分のことを感じている方です。
普通の自分なりたい理由
自分は他の人に比べて劣っている。
そう感じるからこそ
他の人のように普通な自分になりたい。
「普通になりたい。」
セラピーを受けにこられる方の中でよく聞く言葉でもあります。
単純に
自分はみんなと違う。
自分は人より劣っている。
こんな自分はダメ。
という自己否定でもありますが、
集団の中で自分と誰かを
比べずにはいられない心理として
「みんなから愛されるあの子みたいな自分になりたい。」
という思いがあることがあります。
あの子みたいに振る舞えば
あの子みたいな発言をすれば
あの子みたいな自分になれたら
誰かが自分のことを愛してくれるかもしれない。
そう信じているからだと思います。
それは幼少期の親子関係において、
親から愛される自分になりたかった。
という思いが今でも心の中に残っているのかもしれません。
誰かみたいな自分になりたい悪循環
本当は誰かになりたいわけではありません。
誰かのようになることでその先にある自分がほしいものを見ているんです。
残念ながらこの努力が実を結ぶことはありません。
自分ではない誰かになるための努力はより一層もっと自分を嫌いになっていくからです。
それほどまでに
自分を嫌いながら生きていくことは生きることをつらくしますよね。
親が自分を必要としていない。
親が自分に関心を向けていない。
親が自分を大事にしてくれない。
親が自分を守ってくれない。
親は自分を愛してはいない。
その
自己否定
劣等感
無価値感
を感じないでいいように普通の自分になろうと努力するんです。
家族と居る中で
ずっと自分だけが違う。
自分だけが異質だと感じる。
だから普通の自分になれば
親は自分を愛してくれるはずだとそう信じているからです。
普通の自分になるために
自分の気持ちや意思を押し込めて行きます。
誰よりも人と比べて
誰よりも自分を否定して
自分を傷つけたり相手を試すことでしか
人と繋がれなくなっていきます。
いい子で生きてきたはずなのに、
真面目に生きてきたはずなのに、
いつまでもその努力が報われることはないんです。
そうしてだんだんと自分の人生を諦めて生きるようになります。
けれど、自分で自分はこんなもんだと決めて
自分の身動きを取れなくしているのは、他の誰でもなく自分だったりします。
自分の苦しさを劣等感や罪悪感や親や環境のせいに自分には心に傷があるせいにすることは
それくらい、苦しくても実はラクなことでもあるからです。
本当になりたい自分になるために
自分を嫌って、人を拒絶している。
この関係性を自分で選択しています。
ずっと今でも自分も人も拒否して否定することで
自分を守っているその関わり方が今の問題になっています。
それほどまでに今までの自分が
人からほしい助けをもらっていません。
自ら求めることができていません。
人には自分だけの味方が必要です。
自分が自分の味方になれることが大切です。
それは最初はもらえる誰かから味方をしてもらうことから始まります。
困った時に助けてくれる人はいる。
自分の気持ちを分かってくれる人はいる。
それを体感することで自己肯定感は育まれていきます。
自分の気持ちを大事にして話せる人の存在が
その人を大切に思える自分を育てていきます。
相手を大切にすることを気持ちで感じられた人は
自分で自分の味方ができるようになります。
普通になることで自分の感じてきた
劣等感や罪悪感や屈辱感を消そうとする必要はありません。
自分が本当は何を感じ、思い、伝えたいのか。
自分の言葉で自分の苦しみを語れるようになること。
自分が自分の意志を持ち、伝える努力をすること。
これが問題解決をしていく上で大事になります。
普通になりたいと願うのは
自分の存在に対する不信感を持っています。
そして対立することへの恐怖を持っています。
自分の意志は対立することで確立されます。
人に不信感を持ったまま対立すると
被害者となり相手を責めることでしか自分を持てなくなってしまいます。
自分の人間関係が今どのような状態にあるのか。
どうしてその人間関係をしているのか。
これからの人間関係をどうしていきたいのか。
自分が自分のために今までとこれからを見つめる。
心理セラピーはそのための時間でもあります。
自分が解決する人間関係の問題は何なのか。
今の関係性のゴールは何なのか。
自分とじっくり向き合う時間を解決の一歩めにしてもらえると嬉しいです。