親を失ったあなたへ

親を失くす。

これは自分の過去を失くすことだと言われることもあります。

それほどまでに自分の当たり前を失う経験とも言えます。

深い後悔と大きな不安

もっとこうしてあげたかった。。。

まだ何も返せていないのに。。。

自分にぽっかりと穴が空いてしまった。。。

後悔や無念さ、これからの自分への不安。

両親との関係が良かったから悲しい。

親とは疎遠だったから実感がない。

この2つのグリーフは、悲しいから深く、実感がないから軽い、とは簡単には計れません。

距離や関係性だけでなく、グリーフには自分の想いが大きく関わってくるからです。

特に親子関係は、

自分自身の子どもの頃からの関係性が大きく存在することも多く、想いが複雑になりやすいんです。

なので当然、グリーフも複雑になりやすいんです。

親という絶対的な存在を失った時、

こうしてあげたかったという大人の今の自分の想い

こうしてもらいたかったという子どもの時の自分の想い

という親と自分との今の関係性と過去の関係性との間で、言いようのない不安の波に襲われる方はとても多いように思います。

人はそもそも安心したい生き物です。

自分にとって安心がどういうものになっているかで生きやすさはかなり違ってきます。

しかし、グリーフの状態にある時は本当は何より安心したいと思いながらも、自分自身を見失っている状態に陥っている為、安心よりも不安が優っている状態になります。

親を失った時に起こりやすい事とは?

親を失ったその時に、悲しみや後悔と同時にこれからの自分の人生に不安を感じることは当たり前のことです。

この不安定になっている時に不安になっている自分を落ち着かせようとすることは、

不安になっていてはいけない

しっかりしないといけない

このままの自分ではいけない

というように、不安になっている自分に対してダメ出しをしている状態になるため、より一層自分の不安を掻き立ててしまうことになります。

しっかりしようと自分を奮い立たせれば立たせるほど、あなたをどんどん不安定にしていきます。

なので、今のあなたに必要なことは、この不安を消そうとすることに意識を向けるのではなく、本当はその消えない不安の中にどんな気持ちがあるのか?を見てあげることなんです。

あなたの中にある、本当は望んでいた親子関係。

子どもの頃は仕方がないと諦め、大人になると今更。。。と閉じ込めた

もっと大事にされたかった

自分を誰より愛して欲しかった

ただただ甘えたかった

かけられる期待が重かった

自分への扱いが本当はずっとイヤだった

などの幼い頃の自分の「いつかきっと分かってくれるはず」と親に言えずに抑えてきた気持ちが、親が亡くなってしまったことにより、もう叶うことのない報われない想いとなります。

それは、あなたの中に親を失ったグリーフだけでなく、子ども時代の自分も失ったグリーフまで重ねて味わわせてしまうのです。

なぜなら、特にグリーフの状態の時は閉じ込めていた気持ちが解凍されやすい時でもあるからです。

喪失により今まで効いていたはずの抑えのタガが外れて、過去の子どもの時の気持ちに今の大人の自分が振り回されてしまいやすいのです。

これが、グリーフ状態の時に起こりやすいと言われる「安心よりも不安が優っている状態」であり、

つまり

自分自身を見失っている状態という状態です。

この不安や過去に振り回されてしまう時のあなたに大事なのは、不安を消すことではなく、今の自分の状態を確認することです。

自分の今の状態を確認するには?

そうは言っても、人は自分ひとりだけで自分自身を確認することは難しいものです。

だから、わたしは人の心の回復過程には必ず人の存在が必要だと考えています。

誰かに安全に気持ちを話すこと、

分かってくれる相手はいるということを経験すること、

これがグリーフの状態にある時に何より必要なことです。

安心出来る相手との間で今の想いも過去の想いもどちらも自分のもので、どちらも大事な感情なんだということを

人から共感される体験をすること

人との間でこうした経験をすること

によってあなた自身が経験することにより、

自分に共感していくことが出来るようになり、あなたの安心感が心の中に定着していきます。

人は誰かに寄り添われる体験をすることで、自分も自分に寄り添うことができるようになっていくものです。

グリーフのケアはこのような理念で行っているとわたしはそう考えています。

親との別れは色々な感情を生み出すものです。

悲しみや後悔や寂しさ、ただでさえ失ったつらさを日々感じているのに、それに加えて過去からの悲しみや苦しみや絶望感が加わってしまうとそれは自分だけではもうどうすることもできなくなります。

もう過去のことだから、と抑えたり流してしまうとあなたをより苦しめます。

親を失った時というのは、あなたの幼少期に残してきたままの想いに気がつくことができる時であるとも言えます。

幼い頃の自分の抑えてきた気持ち

そして

今のあなたが感じている気持ち

どちらも大切にしながら、過去や悲しみに振り回されるのではなく、今の自分を生きていけるようになる為にあなたの心の傷をしっかり癒してあげましょうね。

そうすることで少しずつ、過去ではなく、今を生きていけるようになりますよ。 

あなたの今を生きていくためのサポートを精一杯させて頂きます。