人は生きていると、病気や事故や災害などの思いがけない場面で、お金を失う経験をすることがあります。
お金を失う。
それは大きな不安を伴う体験です。
お金について良く言われることに「あと1万円もある」と考えるのか、「もう1万円しかない」と考えるのかで人生の幸福度は変わると言われますが、手元に100万円ある人と、所持金が全くない人とでは、同じ1万円でもその重みがかなり違うものになるように、お金の価値は人に対して一定ですが、人がお金に対して感じる感覚は千差万別、様々になるものです。
お金を失うことの恐怖
お金を失う、と言っても
月々の生活費を支払う。
自分の将来に投資する。
詐欺にあって騙される。
病気やケガで出費する。
冠婚葬祭へと出席する。
子どもの学費や習い事。
ローンの支払いをする。
自分の欲しい物を買う。
など、生活をする上での出費と言うものから、予想しない時に出てくる急な出費まで、わたし達は生きていく上で、お金を全く無視して生きていくことは不可能なことです。
そのため、お金の存在はわたし達の人生や命と深く結びついて、切っても切れない関係性となりやすいのです。
また、お金に対する感じ方は、幼少期の生育環境とも大きく関わっていて、どれだけ急な出費をしても必要経費だと捉える人もいれば、日々の生活費の支払いに対してもお金を失うと捉える人もいます。
前者の方はお金を失うという感覚そのものが薄いので、お金に対しての必要以上の恐怖感を感じていませんが、後者の方の場合は、生きていく上で、お金を失うという恐怖感を常に感じながら生きているということになります。
後者のパターンを持つ人に多いのは、幼少期に親がずっとお金に苦労をしていたとか、両親がお金のことで常に揉めていたとか、そうした幼少期のお金にまつわるマイナスな記憶を持っているという人に多いと言われていて、だからこそお金に関する感じ方は幼少期の生育環境と関係性があると言われるのです。
お金を失うという恐怖感が強い人に多いのは、
これからどうやって生きていこう
もう自分は終わりかもしれない
自分ひとりでは生きていけない
などの生死にかかわる危機の恐怖を持っている人に多いと言われます。
自分の本音を抑えていませんか?
確かにお金を失うことは人生にとって大きな出来事ですが、お金を失うことに対して恐怖心を強く持っていると、お金が自分の手元から離れていくことが、自分が生きていけなくなるような不安へ繋がってしまいやすくなります。
その不安から逃れるために、ギャンブルやお酒などへの依存症になってしまったり、自分自身への無力感から人生を捨てて病気になったり自暴自棄になったり、そういう自分の人生を破壊していくような大きな問題に発展しやすいことが、お金を失うことの大きな被害とも言えます。
お金を失った時に自暴自棄になったりパニックになったり、自分を見失うような状態に陥ってしまうのは、
わたしは誰にも助けてもらえない。
人はわたしのことを裏切っていく。
わたしは人から嫌われている。
などの幼少期からの思い込みからくる孤独感や孤立感がこの喪失体験を経験したことによって改めて思い出されている状態になっているからです。
そしてその孤独感や孤立感は無自覚ではあっても心の深い部分にある生死に関わる恐怖感だからこそ、その不安や恐怖を誰かのせいにすることで避けたり、自分自身はの無力感から問題の直視を逃げて、人とも自分とも関係性を断つということが起きたりするのです。
そのように人との関係性を断ち、社会から孤立しやすくなり、孤独に自分を諦めている時こそ本当は、
今の自分が抱えている
寂しさ
虚しさ
悲しみ
孤独感
虚無感
を自分で無視して見ないようにしておかないと生きていくことが難しいほどつらくて苦しい時なのだとわたしは思っています。
人に助けを求められない
誰にも助けてもらえない
という感覚が強い人ほど、傷ついた時の自分を隠そうとしがちです。
つい強がってしまったり、平気なフリをしがちです。
ですが、本当はつらい時ほど心の底では
自分ひとりで生きることが怖い
誰かに自分を安心させてほしい
というあなたがずっと感じないようにしてきた本音に気がつける時でもあるのです。
幼少期から、不安な中でこそ笑い、怖い時こそ平気なフリをしてきたあなたは、その弱さや不安は恥ずかしいものだ、情けないものだ、隠すべきものだと思い込んできたかもしれません。
でも、不安な時に安心させてほしい、怖い時には助けてほしいという気持ちは何も恥ずべきものではなく、むしろ、その自分の欲求を自分が否定しているから、より今が苦しくなっているんです。
恐ろしいことに、この自分の本音や欲求を誤魔化し続けていると、自分のつらさを分かってもらうことを周りに対して一方的に求めてしまったり、自分はこんなにもかわいそうなんだから、と自分は何をしても許されると周りに対して被害者になってしまったり、
分かってほしい気持ちを強く相手や周りに無理強いするようになって、そんなあなたから人が離れてしまいどんどん周りから孤立して結果的に、誰にも分ってもらえず孤独になってしまうことにもなりかねません。
それほど自分の欲求を抑える、誤魔化して生き続けるというのは大きな弊害をもたらすものなのです。
心に大きなダメージを負った時ほど
お金を失うというのは大きな危機を感じる時です。
その危機の時こそ、自分の心の弱い部分が出てきやすいものです。
だからこそその危機の時こそ自分を救うために、過去の自分の人生や今の自分自身を受け入れるというのはとても大事なのです。
心に大きなダメージを負った時ほど
安心できる人に聞いてもらい、過去の自分のそのまま受け入れる。
安全な環境で気持ちを表現し、今の自分のありのまま受け止める。
自分の気持ちや体験をありのままに受容してもらう経験が、ゆっくりと自己受容になり、不安や怖さを感じても対応できる自分、失った環境に適応していける自分を段々と創っていきます。
喪失からの回復は、乗り越えることではなく、適応できることにあるとわたしは思います。
人は喪失を経験し絶望した時に、しばらくそこに居たい時があります。
そしてその時こそ無理に前を向くのではなく、心を共にしてくれる人と一緒に、自分を受け入れ、適応していく時間を持つことが大事だとわたしは思います。
あなたの心が絶望の底だけに居ないことを選んだ時に、希望のカケラを共に見つけていけるように精一杯サポートさせて頂きます。
どうぞ安心してご相談くださいね。
アイデンティティークライシスについては、こちらで詳しくお話しています。