後悔や苦しみ、悲しみなどそういった心の痛みが
ずっと続いてしまう。
なかなか忘れられない。
その理由についてお話したいと思います。
心の成長段階での躓きや痛み
ワタクシ保育士でもありまして、人が生まれてからどのように心と身体を成長させていくのかという発達段階について、今でも子どもたちから教えてもらうことが多くあります。
子どもの身体の発達段階として、中心部から末端へと身体の使い方は広がりを見せていきます。
中心部の発達
↓
周りの部位の発達
↓
末端部の発達
というそれぞれの発達段階をひとつずつ通過して、自分の中に取り込んでいくことで連動した動きが可能になります。
ところがこれをひとつの段階を経験せずに次の段階へと飛ばしてしまうと、後々になって次の段階に進んだ時に躓いてしまうことがよくあります。
わかりやすい例で言うと、寝るという中心部の身体の使い方を覚えるから、ハイハイするという各部位の動きへ移行でき、歩行するという末端部の総合的な動きが段階を経て行えるようになります。
これがハイハイを経験せず、座った状態から立って歩くことを始めたとしても、ハイハイという各部位の発達を飛ばした状態であると、その後の走ったり、投げたり、跳んだり、という運動に連動しにくかったりすることが起こるんです。
これは心についても同じとわたしは思っていて、心の発達についてもひとつの発達段階を飛ばしてしまうと、次のステップで躓きやすくなります。
この発達段階を、子ども自身が自分一人のチカラで身につけていくことはとでも難しく、そのため、他の動物に比べて未熟な状態で生まれてくる人間の赤ちゃんは、人と繋がる能力を持って生まれてくると言われています。
そしてその繋がる能力は、もともと人間の中に組み込まれているものだとしても、充分に発揮するには、生まれてからの環境やそこでの経験がものを言います。
つまり身体の発達だけでなく、心の発達においても、ひとつの発達段階に躓きや傷つきが起こるとそこでその段階の成長が止まったままになってしまうという状態になります。
心の成長段階での躓きや傷つきが起こっている状態こそが、心の痛みがずっと続いている状態なんです。
人と繋がる能力の躓き
心の痛みがずっと続いている場合、この発達段階の最初である「人と繋がる欲求」で、人に委ねることを許されなかったり、甘えたいものをもらえていなかったり、一方的に嫌なものを押しつけられたり、信じるという体感が必要な時に与えられなかったりして、人と繋がることに対して傷ついた経験をしている人が多いと感じています。
人と繋がることは不快なことだと学んでいるので、自分が傷ついたり、つらい経験をしたりしても、人に対してそれを分かち合ってほしいとか、助けてほしいとか、支えてほしいという気持ちが起こりにくく、傷もひとりで抱え込んでしまっているからです。

なので、その心の躓きや傷つきで心が止まったままの状態のまま、喪失体験での傷やアイデンティティクライシスというグリーフを経験してしまうと、当然ながら躓きに躓きを重ねたり、傷に傷を深めたりしていき、
止まったままの過去に一気に引きずり込まれたり、
過去の傷を思い出して自分の生き方や価値観を見失ってしまったり、
傷ついた状態がずっと続くので、痛みもいつまでも長引いてしまうんです。
心の危機を迎えていても、その対処法や乗り越え方、どのように適応していけばいいのかも分からないままなので、その波に飲まれて翻弄され自分への自己否定が強くなり、今のグリーフそのものに、過去の傷が大きく加わってずっと痛みに振り回されてしまうという状態になってしまうんです。
このように、心の発達段階の躓きが大人になった今でもずっと続いていることが、心の痛みがずっと長引いてしまうひとつの原因になっている、とわたしは思っています。
困った時ほど本音を言えない
つらい時ほど平気なフリをする
人に頼ることに嫌悪感がある
というような人の中には、
人や自分を信じられない
人と関わり、繋がることが怖い
自分で自分を守るしかなかった
という幼少期のグリーフの傷が、今でもそのままになっていることが多くあります。
この人間が持って生まれてきた当たり前の欲求である「人と繋がる」という発達段階において、躓きやイヤな思い、痛みやトラウマといった傷を経験していて、今でもその傷を抱えたままになってしまっていることが、自己否定を強めたり、今のグリーフの経験がアイデンティティクライシスにまで繋がり、孤独感や絶望感で自分を覆ってしまうからです。
躓きをやり直すためには
この躓きや傷つきに対応したり、適応したりできるようになるためには、大人になったからと言って自然に身につくものではなく、その躓いた発達段階を自分で獲得すること、学び直しをすることで自分の中に根付いていきます。
人との間で経験された傷であるからこそ、人と関わりながらその信頼感を体感し直していくことが人生で必要になります。
グリーフでの傷やトラウマの多くは、この心の発達段階の最初である
人を信じるチカラ
人と繋がるチカラ
人に委ねるチカラ
をやり直して体感することで回復を始めることができます。
これが自己受容であり、人との関わりがあってこそ次の段階へと進んでいくことができます。
そして、
人を信じるチカラには、人から受け入れられる体感が必要です。
人と繋がるチカラには、人との分かり合える安心感が必要です。
人に委ねるチカラには、人の事を大事に想う信頼感が必要です。
これが他者受容であり、これも人との関わりがあってこそ次の段階へと進んでいくことができます。
この自己受容と他者受容の両方が自己肯定感を育んでいきます。

自分の自己肯定感を育てていくことで、傷ついた自分への対応力や適応力も段階を追って回復へと進んでいきます。
全てを今すぐにやる必要はありません。
それでも、自分のために勇気を持って行動してみることは、あなたにずっとある過去からの心の痛みを、未来への希望に変えていってくれるとわたしは思っています。
未来の希望なんてない。
そんなものはいらない。
そのように感じている時こそ、あなたの心の痛みが本当は助けを求めている時なのかもしれません。
なぜなら、あなたはその自分の痛みに気がついているから。
心の痛みがずっと長引いている。
あなたがそう感じているなら、自分の心がどこで躓いているのか、何に傷ついているのかを、人と繋がりながら自分の中に腑に落としていくことで
今のグリーフの痛みと
過去のグリーフでの痛みを
まずは分けることから始めてみませんか。
あなたの心の痛み、どうぞ安心してこちらにご相談くださいね。