死別という経験だけでなく、大事にしていた人との関係性が壊れたり、交流を失ったり、決別するような出来事などがあったりすると、それは「人間関係を喪失した」という大きな喪失体験になります。
今回は、その人間関係の喪失での多くの方が抱える「友人関係の喪失」について書いていきます。
承認されにくいグリーフ
学生時代にしろ、
社会人になってからにしろ、
家庭人になってからにしろ、
自分が大事にしてきた友人関係を失ってしまうのは、心に傷を残します。
友人関係というのは、付き合いましょう、結婚しましょう、というような契約がある関係性ではないため、人間関係の中でも最も移ろいやすい関係性のひとつとも言われることがあります。
はっきりとした関係性が分からないからこそ、気持ちの交流や精神的な繋がり等の心の絆を大事にしてきた、という方が多いのもこの契約のない友人関係の特徴です。
家族とはまた違う、友人関係という絆。
家族ではないから死別したり別れたり離れたりすることが仕方ないことだと割り切れるかと言うと、それがとても難しいということも多くの方が経験していることではないでしょうか。
そして、別れたり離れたりした理由について
自分のせいだと思っていても
相手のせいだと思っていても
その自責の気持ちや寂しさや怒りを、なかなか改めて人にじっくりと話すという機会が持てずに、モヤモヤしたまま時間薬で心が癒されていくのを待つ人も多いのが、この友人関係の喪失です。
温かい繋がりや相手への信頼感
楽しかった共有の思い出や安心感
大事にした信頼や大事にされた喜び
そのような
自分や相手への信頼感や肯定感などの大事に育んできた心の中の絆を失うことは、自分が思っているよりも大きく、そして自分が考えているよりも長くその傷を引きずってしまうものです。
そしてその傷を誰かに話したとしても、
もう縁がなくなったんだよ
友達はその人だけじゃないよ
家族やパートナーがいるからいいじゃない
と
なかなか話を深められなかったり、真剣に聞いてもらえなかったり、そんなに大きなことに捉えなくていいかのような対応が返ってくると、誰かに話したことが反対に傷を深めたり、ひとりで抱える原因になっているのではないかと思います。
これは、自分の心の傷を周りの人から分かってもらえないという承認されないグリーフとなります。
承認してもらえないグリーフは、傷があるのに伝わりづらかったり、分かち合えなかったりするので、当然ながら長引くことになります。
承認されないグリーフのスタートラインとは?
グリーフから起こる傷は、自分からも周りからもその存在を認められることで初めてスタートラインに立ちます。
自分に傷があると知ること
傷を受け入れてもらうこと
自分の気持ちを開いていくこと
出した気持ちを共感してもらうこと
失った現実に適応していくこと
このように段階を経ていくことで、承認されないグリーフと共に人生を歩んでいくことができるようになります。
承認されていないものをまずは認めて、自分が知り、受け入れる、そこがスタートになります。

グリーフと共に人生を歩くことができるようになることは、あなたがあなた自身を受け入れ、そのままのあなたと共に生きていけるようになるということです。
わたしは、それがグリーフケアでの「適応」なのではないかと思っています。
人に自分のグリーフを認めてもらえないと、
もうこのことは忘れよう。。。
そういう人だったから仕方ない。。。
また新たな出会いがある。。。
そうやって自分の本当の気持ちを見ずに忘れることで、何とか今に対応しようとします。
けれど、そのように
気持ちを抑圧したり
言い聞かせて納得しようとしたり
無理に未来に目を向けようと
必死に忘れようとすればするほど、傷は回復するどころかより傷を心の深い所に沈めてしまいます。
そもそも人は、過去の傷を抱えたままでは未来を自分の目で見ることは出来ません。
そして、友人があなたにとってとても大事な存在だったからこそ、その別れが深い傷になっているんです。
血のつながりのあるかどうか、
契約が交わされているかどうか、
それだけで人の関係は計れません。
あなたの心が求めた相手ならば、その存在を失ってしまった時に大きな傷になるのは当然です。
だからその傷を
忘れることよりも、
見ないことよりも、
無かったことにするよりも、
まずは
失った自分の現実に、
失くした存在の大きさに、
失ったことでの本当の気持ちに、
あなた自身が気がつくことが大事です。
そして友人関係では、ひとりの相手とは壊れたにしても、少なからず周りの人との関係性が残っていることがあります。
そうすると
自分が言ったことが伝わるかもしれないと疑心暗鬼になったり、
話している相手が中立の立場で共感が得られないと感じたり、
家族やパートナーとは違う、自分の気持ちや傷を分かってもらえないという疎外感や孤立感を強く感じて何も言わなくなってしまう事も起こります。
疎外感や孤立感を感じる時こそ
だからこそ、自分に全く利害関係のない人に、思っていることや感じていることをそのまま聞いてもらうことで、あなたの今や本音を理解できるようになります。
あなたが言いたくても言えなかった本音だからこそ、自分のことを深く知らない相手にこそ臆せず話をすることができるんです。
あなたに必要なことは、閉じてしまっている本音を何の判断も判定もされずに、ただただ聞いてもらって心を開きほぐしてもらうことです。
人はひとりでは生きられないからこそ、人との関係性を考え、悩みます。
友人関係を失ったことで、あなたの過去から抱えてきた自分の心の傷が再び疼いているんです。
今まで友人や世界とどのように繋がってきたのか?
あなたは失った今、過去からの自分に問われているのだと思います。
破壊されて絶たれてしまった関係性をどうにかすることや元に戻すことに自分の希望を繋ぐと、あなたの未来に希望はなくなってしまいます。
あなたが
何を考え、
何を思い、
何を感じ、
何が好きで、
何が嫌いか、
何が得意で
何を避けてきたか。
まずはあなたがあなた自身をより深く知っていくことが大事です。
わたしが今でも覚えている言葉に、
友人は喜びを2倍に、悲しみを半分にする。という言葉があります。
これは自分の体験からも本当だと感じているのですが、わたし自身、友人に大事にされるという経験を知ることで
自分を大事にすることはどういうことなのか
人を大事にすることにどんな意味があるのか
そうやって互いを大事に想い合うことが人生を2倍も3倍も豊かにしてくれ、わたし自身を深く知るキッカケになりましたし、自分の人生にどんな影響を与えるのかを教えてもらったと感じています。
疎外感や自己否定や罪悪感を強く感じる時こそ、そのように感じている自分のことをそのまま受け入れてくれる場、環境、人、があなたには必要になります。
人との繋がりで躓いたからこそ、人と繋がりながら癒していくことが大事だとわたしは思っています。

あなたが
過去の自分を受け入れ
今の自分をそのまま肯定し
未来の自分へと目を向ける
そのためのサポートを全力でさせていただきます。
どうぞ安心してあなた自身を話してくださいね。