これまでグリーフケアとアイデンティティクライシスについてのお話を多くしてきましたが、グリーフの状態とアイデンティティクライシスの状態は、
どう区別したらいいのか?
何がどう違うのか?
そのような疑問を持たれる方も多いのではないかと思います。
グリーフケアとアイデンティティクライシスは違う?
確かに
大事な存在を失ったからグリーフケアが必要で、
仕事で自信を失くしたからアイデンティティクライシスの問題である、
ということは
そうでもあるし、
それだけでもない、
というのがわたしの考えです。
大事な存在を失うことはグリーフの傷になりやすいですし、
自分を見失うことはアイデンティティクライシスに大きな影響があると思います。
ただ、それだけではなく
その失った存在が、あなたの中のどのような感情や経験と結びついているのかがとても深く関係しているとわたしは思っています。
失った存在が、あなたの今の悲しみ、苦しさ、痛みなどの一言では言えない気持ちが現在の出来事と結びついている場合、
それは今の喪失体験から大きく影響を受けいてるので、まず今のグリーフの傷を癒すことがスタートになります。
失った存在が今の出来事をキッカケにあなたの過去のトラウマにや傷に触れ過去の出来事と結びついている場合、
それは過去の喪失体験から大きく影響を受けているので、まずは過去のトラウマや傷を癒すことがスタートになります。

傷や痛みの正体
こうはお話ししても、今のあなたの心の傷が、
今の喪失体験からの反応で起こっているのか
過去からの喪失体験からの反応で起こっているのか
それは原因も体験もひとつだけに断定できるものではありませんし、あなたが体験したことはあなただけの特別な経験です。
この2つの喪失体験は誰しも繋がりを持っていることが多く、今のグリーフをキッカケに過去のグリーフを見つめ直すことがほとんどではないかと思います。
わたし自身も自分が死産を経験した時に、あまりにもショックが大き過ぎて自分に起こった出来事として受け入れることができずに、何か意味があるはずだ、とその何かを探し続けることで、自分に起きた事実から逃げ続けた過去があります。
確かに、当時のわたしにまず必要なものはグリーフケアだったと思います。
それでも、今現在の自分を癒すためには、今の自分に起きた子どもをお腹で失うという事実をキッカケに、どれほど過去の自分が自己否定と自己喪失をしてきたかについても向き合うことが必要でした。
現在のグリーフケアを行っていく中で、過去の自分に起こっていたアイデンティティクライシスを知り、過去の自分の傷と今の自分の痛みが繋がっていることが腑に落ちた時、自分の等身大を受け入れられるようになりました。
グリーフの傷。
アイデンティティクライシスの痛み。
このどちらにも、相手や自分や社会との間で断絶という孤独が大きくあります。
孤独が自分の傷に繋がっている時は、その孤独に対して
自分ひとりの力で耐えようとしたり
受け入れようと敢えて一人を選択したり
そうやって孤独に抗おうとすることで
重ねて孤独を深めてしまうことがよく起こります。
小見出しのサンプル
わたしは、孤独を感じた時こそひとりにならないことが大事だと思っています。
会う約束をしている人がいる
この場所に行くと誰かが居る
そのような未来の予定があることも、断絶の孤独の寂しさからあなたを支えてくれます。
これが世界と自分とが断絶されている状態の人にとって、まずは人の存在が必要な理由です。
人と繋がりを感じられない
人との関わりが切れている
そのような状態をずっと経験する中で、
誰のことも信じられないという状態にあるので、不信感が自分の信念の状態になっています。
ずっと孤独で生きてきた人ほど、自分の孤独を感じていません。
耐えることが当然だった人ほど、自分も相手も信じていません。
いつもひとりで泣いてきた人ほど、人からのぬくもりを拒否します。
なのでそこには
安心して孤独を感じることができるために、
勇気を持って信じたい人を信じることができるために、
ずっと断絶されてきた繋がりを求めていたことを知るために、
人の存在が必要になります。

その、人を求めるという行動に対して怖さを感じるのは、何よりあなたがずっと孤独を感じながら、ひとりで生きてきたからではないでしょうか。
今までのあなたが、ひとりでは抱えきれなかった孤独。
今のあなたの抱える、人と居てもひとりで居るような孤独。
喪失をキッカケに、あなたの今がどのような状態であるのか、過去の自分が何を抱えてきたのかをしっかり知るためにも、そこに誰か信頼できる人が必要です。
自分の今を知るために
約束の場所を作るために
会える人を作るために
ひとつでも心の安心を増やすために、グリーフセラピーやグリーフカウンセリングを安心してご利用くださいね。