人間にとって、自分の居場所はとても大事なものです。
その居場所のひとつを失った時に、「自分にはどこにも居場所がない。」そう感じてしまうこともあると思います。
居場所を失う孤独
人間関係でのトラブルやいじめなどの原因によって、今まで所属していた場所や人から離れるということが起こると、
自分が自分として居られない
誰にも受け入れられていない
どこででも役に立っていない
という自己否定の思いを抱いてしまい、自分の居場所がないと感じてしまう経験がある人は多く居ます。
居場所を失うということは、自分の所属する場所を失うことでもあります。
所属感を失うということは、人やコミュニティとのつながりが切れて自信や保証、安心感を失い、孤独感を感じやすくなるのは当然です。
人は、この孤独感を味わうことが怖いので、家庭や職場や所属しているコミュニティのような、今の自分が居る場所での居場所を自分の力でどうにかしようと努力したり、我慢してみたりと、自分が何とか頑張ることで居場所を作ってきています。
もちろん、自分ひとりで生きていくワケではありませんので、関係性において努力することや我慢することを全くしなければ、社会と断絶し、孤立してしまいます。
ただ、ひとつの居場所を失ったことで、それが自分自身に対して
やっぱり自分はダメなんだ
こんな自分だから拒否されてしまった
自分はいつもうまくできない
と自己否定の気持ちがずっと続いてしまい、人と関わることが怖くなったり、所在ない感覚に不安になったり、自分に生きる価値はないと絶望してしまう状態になる時というのはあなたの心の中で危機が起きています。
居場所を失ったことで、あなたの存在意義や価値、自分への安心感や信頼感といった自分自身を失っている状態である、アイデンティティクライシスが起こっている可能性があります。
癒えていない過去の傷
そして今の居場所を失うという経験が、自分の存在意義や価値観にまで繋がっていくアイデンティティクライシスの原因が、実はあなたがずっと
自分には安心できる居場所がない
どこにいても安心することができない
居場所なんてどこにもない
という気持ちを幼少期から抱えていることから来ていることが多いんです。

その根本には、幼少期に親子関係や養育環境での人との関係性でたくさんの裏切りや傷つきを経験し、その傷を今でもそのままにしていることで
どうせ自分は捨てられる
自分は愛されていない
大事なものは壊れていく
という人間関係のつながりを学んで信じて生きてきています。
人の役に立たない自分
相手を喜ばせられない自分
誰かの望みを叶えられない自分
には居場所は与えられなかったという過去の傷を今でも鮮明に体感していて、その孤独だった幼い自分のグリーフの傷が今でも癒えていないんです。
今でもそのグリーフの傷が放置されたままになっていると、自分の居場所を失わないために、自分という存在を相手や誰かに受け入れてもらえるよう
今のままではダメ。
こんな自分ではダメ。
と自己否定してずっと周りから安心をもらおうとするようになるので、居場所を失ったことが自分の存在そのものの否定になっていきます。
ひとつの別れが、「自分だダメな人間だから人が離れてしまった」というまた新たな自己否定の証拠を重ねていってしまうからです。
幼少期に自分に向けられ続けてきた否定から
助けてほしい。
側にいてほしい。
安心させてほしい。
という欲求が傷ついたままになっているので、今の喪失の痛みが過去の痛みによってより大きくなっているんです。
どこにも居場所がないという傷を癒すには
過去のグリーフ傷を抱えたまま、今のグリーフの傷を癒すことはできません。
傷を癒していくにも、段階が必要だとわたしは思います。
過去のあなたが傷ついたままになっている
どこにも居場所がない
どこにいても不安なまま
自分は価値のない人間
という過去の信念の思い込みを否定すると、否定している自分を否定することになり、自己否定はもっと強くなってしまうんです。
まず、あなたに必要なことは否定ではなく、向けられてきた自分への否定が悲しく、つらく、苦しく、虚しく、惨めで、腹が立ったというそのままの気持ちを、自分が迎えにいくことです。
あなたがずっと否定してきたからこそ、感じ続けてきた過去で蓋をしてしまった本当の気持ちを受け止めることが今のあなたに必要なんです。
あなたがずっと避けてきたからこそ、過去からの自分の欲求や本音を受け入れるためにそこに人のチカラが必要になります。
これが自己受容と他者受容です。
この相互受容があなたの傷の回復の味方になります。

過去からの自己否定してきた自分を受けとめていくこと、そうして過去の欲求や本音を受け入れていくことで、今のあなたのグリーフの傷を、過去からの傷ではなく、今の自分に起こった出来事として引き受けていくことができます。
居場所がないと孤独を感じることは、あなたの中でアイデンティティクライシスが起こっている可能性が大きいとわたしは思います。
過去の傷と今の傷を繋げてしまうと、自分自身の危機が起こりやすくなります。
そういう時ほど、誰かと共に自分を知ること、誰かに自分のそのままを聞いてもらうこと、そうすることであなた自身の価値観を確認することができます。
失ってしまったあなたの存在意義や価値を、自分自身で感じられるように安心してご相談くださいね。