年末年始にかけて人との関わりが増えた方や、人からの誘いがあった方など、色々とあった時期だったかもしれませんね。
その中でも、大事な存在を失った人は例え親しい人であろうとも、いえもしかする親しい人ほどに、人と会うことを避けたくなるということがあったかもしれません。
人と会いたくない気持ちの理由
人と会いたくない。
喪失体験をした後は、そのような気持ちになる方はとても多いです。
特にイヤな思いをさせられるでもないし、むしろあなたのことを気遣ってくれたり、元気づけようとしてくれたり、労わろうとしてくれたりするにも関わらず、人に会うことが億劫でたまらない。
その理由のひとつとして、失っているグリーフの状態で誰かに会ったり話す機会を持つことは、今より一層
失ってしまった事実
傷ついてしまう言葉
持っていない劣等感
を味わうことに繋がってしまうことがあります。
相手はそのつもりはなくても、自分の方が勝手に反応してしまうという状態が起こります。
その自分に対して嫌気がさしたりガッカリしたりするので、人と会わないことでそのような気持ちになることも避けられ、自分を保つこともできますよね。
けれどあなたがもしもずっとこの状態が続いているとするなら、あなたはずっと自分の状態や状況が良い時ではないと人と関わることができないのかもしれません。
自分の悪い時の状況やネガティブな状態を、人に見せることができないのかもしれません。
人と関わるということは当然ながら、自分のことばかりの時間を対人関係で持つことは難しいと思います。
自分の話ばかりをして相手の時間を奪っては申し訳がない。
暗い話や重い話ばかりして相手を困らせてはいけない。
グリーフの状態にある時に、そのような気持ちが出てくることは確かにあなたから出る優しさでもあると思います。
しかしながらグリーフの状態にある時は、まずはあなたの話や言葉や気持ちを聞いてもらうことが優先です。
あなたがあなたに優しくあるために、人のチカラを借りること。
これが大切になります。
自分の話を聞いてもらうことの重要性
そして人のチカラを借りて自分の話を聞いてもらうことの重要性のひとつに、自分を客観視できるということがあります。
大事な存在を失うと、心の中で大きな災害級の崩壊が起こります。
自分ひとりだけでそれを受け止めようとすると、仕方のないことですが自分に都合のいい解釈で心の傷に蓋をするという対応を取りやすくなります。
例えば喪失体験を忘れようとしたり、誰かや何かのせいにしたり、そうやって自分自身が壊れてしまうことを本能的に避けようとします。
また、
自分には向いていなかった。
そういう運命だった。
この道は間違っていた。
そうやって自分に言い聞かせて揺らぐ気持ちを抑えようとします。
だからこそ、あなたはあなたを見失ってしまうという状態が起こります。
その自分に、嫌気がさしているしガッカリしているんです。
本当は自分を見失っているのに、ずっとその自分を責めながら心の深い所に潜り込んで自分の中を見ようとするのは、ダイバーが水深40メートルの暗黒の海の中で、地上に戻るための道筋となるロープを見失っているような状態です。
もちろんそういう時も大切ですが、海に潜る以上は常に自分をその状態にしておくことは不可能です。たとえ迷う時間が起こったとしても、最終的には水深を知り、時間を決めて海上へと上がることが前提です。
一旦潜ることがあっても、時間が来たら水から離れ地に足をつける。
それと同じように、喪失体験を経験してもずっとその悲しみや痛みに留まったままにならず、自分に楽しみを与えることもあなたにとって大切なことです。
自分にとって楽しみとは何なのか。
それは潜って苦しい思いをしたからこそ、分かることでもあります。
その主観である自分の中に潜り込む時間を持ち、第三者に客観して外から見ていてもらうことで安全に上がることができます。
これが自分という当事者だけでなく、人という第三者を必要とすることの理由の一つです。
あなたはどちらも味わっていい
人に会うことは傷つくこともあります。
けれど同じくらい優しさをもらうこともあります。
傷つく事実
優しい事実
そのどちらもあなたにとっての事実です。
あなたを
受け入れる人と
受け入れない人
その両方が存在するのがこの世界でもあります。
どちらも存在している中で、ひとつの事実だけで自分の世界を決めつけ心を閉ざしてしまうとしたら、それはあなたの人生をとても生きづらいものにしてしまいます。
人に傷ついて不信感を持ち、心に痛みを抱えている。
そのような時ほど、自分は傷つくだけの人生なのだと決めつけて、どうか人に会うことを閉ざしてしまわないでほしいとわたしは思っています。
あなたは人との関係性で
傷つきも
優しさも
どちらの事実も味わっていいからです。
そしてそれは、あなたひとりだけで味わうことは難しいものです。
どうか深い傷つきを味わったあなただからこそ、あなたが優しさを味わうことを自分に許してあげてください。
自分の中に潜ることが続いていると、そこから出ることを忘れてしまいます。
あなたに楽しみや優しさを思い出させるためにも、人に会い、人と話すということが大切になります。
自分にできることは何もないと絶望している時に、自分ひとりで希望を見つけることは難しいものです。
自分と誰かとの間に違いがある時こそ、その違いから自分も関係性も深めていくことができるキッカケとなります。
人と会いたくない。
その気持ちが強い時こそ、グリーフケアで人と話してみてほしいとわたしは思います。
人と会いたくない時ほど人が必要だとわたしは思います。
今年も安心してご相談くださるよう、こちらでもお待ちしております。