喪失体験をすると、心の天気は一言では言えない大きな荒れ模様となります。
あの人が居なくなってから、
あの存在を失ってから、
ずっと心が晴れない。
そのように感じられる方は多いと思います。
心が晴れない背景に人間関係がある
あの人でなければ
あの存在じゃないと
心は晴れないという状態ですから、当然ながら
誰と居ても心は晴れない。
誰と居ても同じ。
という想いを抱きやすくなります。
その想いから、
誰にも本音を言わなくなったり
誰にも心配させないよう笑ったり
誰とも心を通わさなくなるということが起こります。
誰に対してでもいい顔で接することができる反面で、誰に対してもいい人の自分でいることを自分に課すことになります。
人間関係なんて、最も大事な存在を失った自分にとってはもう誰と居たところで同じなのだ、という感覚が働くのではないかと思います。
それは今の人間関係に対して
この人がいい。
この人とがいい。
そんな
特別な人間関係を失ってしまった、と感じているからではないでしょうか。
これは人が持つ愛着の感覚で、幼少期までに人は特定の誰かとの深い絆を形成することを必要とします。
人は、
この人と仲良くなりたい。
この人を信じたい。
この人と関係性を深めたい。
そんな大事な特別なこの人の存在を必要とします。
その特別なこの人という大事な存在こそが愛着だとわたしは思っています。

あなたの傷ついたままの傷
その特別な存在を失った時、人は
他のものがどうでも良くなる。
何に対しても興味がなくなる。
という状態になるのは当然のことだと思います。
それでも人は孤独が怖い生き物です。
自分は誰かと繋がっている満ち足りた気持ちでひとりで過ごすのと、
自分は誰とも繋がれていない不安で怖い気持ちでひとりで過ごすのとでは
孤独という認識やひとりで居ることの耐性に、大きな違いが出るのはお分かり頂けると思います。
孤独が、「世界でたったひとりきり」という意味を持った時。
ひとりでいることが、「世界と断絶され孤立した」と感じられる時。
誰でもいいから自分の側にいてほしい。
とすがる思いを抱えながら人間関係を凍結させるということが起こりやすくなります。
それは
誰とでも上手くやる。
誰にも本心を見せない。
誰にでもいい人でいる。
という人間関係を築いていくことになり、あなたをもっと孤独にします。
今感じているあなたの孤独感は、あなたのこの喪失体験をキッカケに、幼少期の愛着の癒えていない傷が出てきたのかもしれません。
あなたの心の根底に
誰か自分を愛してほしい。
誰か自分を大事にしてほしい。
誰か自分を分かってほしい。
という幼少期からの特別な相手との関係で満たされなかった本音が
今でもずっと
求めたまま
諦めたまま
傷ついたまま
になっているのかもしれません。

過去の傷と今の苦しみを分ける
そもそも傷ついたままなので、誰とでも同じような関係性を築いて、誰からもいい人と思ってもらうことで、誰も信用しないこと、誰とも心を通わせないこと、誰にも失った痛みを感じないことで、もうこれ以上、傷つかないでいいように自分を守っているんです。
傷つかないでいられることは、心が安全でいられるかもしれません。
けれど、これ以上傷つかないことは、あなたがそもそも傷ついていることを癒すことはないんです。
なので、今のあなたの感じている
もう誰との関係性も必要としていない。
もう誰とも本音で話さなくていい。
もう誰との間でも安心することなんてできない。
という思いに対して
その気持ちはあなたの過去の傷を知らせていて、今の苦しみとは別のものなのかもしれない。と自分に問い直すことが必要になります。
確かに人は、過去に生きる時もあります。
そのような時期があるのもわたしは知っています。
けれど人は過去にだけ生きることはできないことも、また知っています。
どれだけ割り切ろうとしても、人と繋がりたいという欲求は人にそもそもあるものです。
大事な存在を失ったことで、
あなたの傷を守っていた心の砦が壊れてしまったことで、
どこかでずっとあなたが人間関係で感じてきた
怖い気持ち
不快な気持ち
が溢れてしまったのかもしれません。
そこを見て癒した上で
人と安心で繋がること
自分と安心で繋がること
という人間関係の繋がり直しを選択肢に入れてみたら
あなたのずっと晴れずにいたままの心も、少しずつ変わっていくとわたしは思います。

あなた自身の過去の傷と今の傷とを分けてみることも、グリーフケアの大事な役割だと思います。
人を求めながらも諦めていたり、人という存在に絶望しても人を切望していたり、あなたの心に今もまだ矛盾があるなら、ぜひグリーフケアをあなたの本音をじっくり話す機会にしてもらえたらと思います。
どうぞ安心してご相談くださいね。