長く続く悲嘆には理由がある。

喪失体験をして自分にとって大事な存在を失った人が、グリーフという悲嘆反応が続くのは当たり前のことでもあります。

あくまでも周りの人がもう大丈夫だと感じるかどうかではなく、あなた自身が主観で感じる感覚なので、その悲嘆の時間を長い短いとは一言では言えないのですが、あまりにもずっと気持ちが沈んでいたり、失った存在のことしか考えられない日々が続くと、不安になる方も多いのではないでしょうか。

あなたの悲嘆が長く続くのは

このグリーフという悲嘆反応ですが、自分が愛着を感じている対象や愛着を求めていた相手に対して起こるものです。

自分が愛着対象として見ていない存在に対して寂しさやつらさを感じることは少ないと思います。

喪失体験は、愛着を感じている対象だからこそ寂しくつらい体験であり、愛着がほしかった存在だからこそ虚しく絶望する経験となります。

悲嘆反応がずっと続くと、

どうしてこんなにずっと悲しいのだろうか。

どうしていつまでも自分だけ前に進めないのか。

どうしてずっと苦しみが続くのだろうか。

そのように自分に対して不安を感じるという方も多いです。

けれど、

「自分を大事にする」ということがよく分からない人ほど、しばらく休んでいるといつのまにか元気になっていることを想像をしやすいように思います。

今まで人生を、自分よりも周りを大事にしながらずっと頑張り続けてきた人は、止まって休むということそのものが怖くてたまらないという方も多いからです。

喪失体験をし、自分がグリーフの状態にあると頭では分かっていても

止まること

休むこと

リラックスすること

弱い人間だ

甘えている

依存している

こんなことではダメだと自己否定に結びつけがちです。

悲しみや

寂しさや

虚しさや

怒りや

憂いや

無気力感

そういったグリーフに伴う心の揺らぎが長く続くと

自分の人生はこれから先ずっとこうなのかと絶望感にも繋がります。

そしてこの長引くグリーフの反応は、幼少期に生きづらさを感じていたり、たくさんの傷を抱えた人ほど、喪失を体験した時のグリーフも長い時間続くという傾向はあるように思います。

理由はあなたの傷ついた愛着にある

なぜ幼少期の生きづらさや心の傷の多さが、長く続く悲嘆反応に関係があるかと言うと、

何を見ても、

何を聞いても、

何を体験しても、

自分の気持ちに結びつけるよりも、全てのことを失った存在に対する気持ちと結びつけてしまうということが起こりやすくなるからです。

あの人が居なくて悲しい。

信じていた存在がなくなって虚しい。

築いた絆が消えたようで苦しい。

そのような相手や対象への愛しい、恋しいというポジティブな気持ちは認めることができても、自分の悲しい、寂しいというネガティブな気持ちを受け入れ難く、蓋をしやすくなります。

人は過去の経験や体験を通して、自分の行動を決める側面があります。

つまり、過去に自分の悲しみや寂しさにあまり共感されてこなかった人ほど、自分のネガティブな気持ちに圧倒された時に自分ひとりでは抱えきれなくなり、ネガティブな気持ちを抑え込もうとすることで自分を守ろうとする、ということが起こりやすくなります。

本心では自分に対してネガティブな信念を持ちながらも、ひとりではその怖さに抗えないので、自分に対して怖くないとポジティブに変換して言い聞かせるしかないという状態になります。

幼少期につらく苦しい経験。

自分が無力であると思い込まされた体験。

それが多く重なると自分の生きてきた過去は、危険に満ちたものであるとあなたは信じることになります。

それほどまでに、その時あなたの心はひとりぼっちったのではないでしょうか。

今も過去もあなたの心がひとりぼっちであるなら、自分の困難な状況に対して

打ちひしがれて降伏する

そんなことはないと抵抗する

の状態になり

あなたの心の傷を癒していくことよりも、忘れようとすることに意識を向けていきます。

なので、グリーフの状態が長く続く人ほど過去の心の傷がまだ放置されたままになっているということは多くあります。

長く続く悲嘆に大切なこと

もしも今でも、あなたの心がひとりぼっちのままであるなら、過去の危険に囚われている状態から今の安全の状態へと意識を向けること」が大切になります。

過去の危険に囚われているのなら、その怖かった過去に対して、「怖くない」ではなく「怖かったね」と「あなた自身がその怖かった過去を認めてあげること」が必要です。

そしてそのために、今の自分に必要なことは何か?を考えてあげること」が長く続く悲嘆の原因のひとつとなっているあなたの愛着の傷つきを癒すことに繋がります。

今のあなたが苦しさばかりに目が向いてしまうのは、あなたがその苦しさを改めて思い出すことを何とか避けようと、今でもひとりで自分のことを必死に守っているからでもあります。

誰かと共にしっかりと自分のネガティブを受け止められるようになることで、自分だけで自分を守らなくて良くなるため、ネガティブな気持ちがけでなく表裏一体の反対側にあるポジティブの側面にも目を向けられるようになっていきます。

なので、あなたにとって気持ちを切り替える何かがあるかどうかは、あなたのグリーフの傷が長く続くかどうかに大きく関わりがあると思います。

あなたが自分にとっての

リラックスや休憩を探すことは

自分を投げ出すことでもなく、

相手を忘れることでもなく、

あなたを大事にするために必要なことです。

あなたの心が今でもひとりぼっちなら、誰かと共にみつけたらいいとわたしは思います。

どうしても自分の心地いいところが見つからないという時には、あなたが大事な存在があなたに対して見つけてくれたいいところを信じてみたらいいのではないかとわたしは思います。

あなたの傷が長く続いているとしたら、誰かに話し、誰かと分かち合うことを、どうか自分に許してあげてくださいね。

どうぞ安心してご相談くださいね。