失った虚しさや寂しさ。
自分への失望や不全感。
世界への不信感や絶望。
それを誰かに語っても励まされたり否定されたりの経験が繰り返されると、「自分の気持ちを誰も分かってくれない」と、相手や周りに対して心を閉ざしてしまうようになりますよね。
分かってほしい。でも分かってほしくない。
自分の言っていることが相手に通じていない。
自分の気持ちを相手が理解しようとしてくれない。
自分と相手の気持ちに何だかズレがある。
そのような時に人は、その相手や対象に対して「分かってくれない。。。」と感じるものではないでしょうか。
その分かってくれないという思いこそ、自分のことをぞんざいに扱われたような、放り出されてしまったような、自分だけが置いてけぼりを味わっているような、誰も自分の味方はいないという孤独感と周りの世界からあなたを分断する孤立感をあなたに与えます。
特に喪失体験をした方は、分かってくれないという気持ちを感じたことがないことがないことはないだろうと思います。
喪失体験をして心に大きな喪失感を抱える気持ちは、本人だけの特別な感情なので、周りの人と分かり合うことは難しく、そのつらく苦しい気持ちを分かってほしいと感じながらも、簡単に分かられたくないという大きな矛盾を抱えることが多くあるからです。
相手にどれだけ寄り添ってもらったとしても、あなたにとってそれが相手からの一方的な想いに感じられたとしたら、それはあなたにとってかえって分かってくれないという気持ちをを深めてしまいます。
自分の気持ちは誰と同じでもない特別なものでありながらも、誰かにこの自分の気持ちを分かってほしい。
その矛盾が、喪失体験をした方の孤独感や孤立感を深めていきます。
だからこそこの世界との断絶を感じている状態の時に、人に話を聴いてもらうことで、自分の感じている感覚で相手から自分の気持ちを分かってもらう体感をすることがとても大切になります。
分かってもらうことの意味
それは単に、誰かに自分の話を聴いてもらうというだけではダメなんです。
人は誰かに心から分かってもらえたとそう感じられた時に、自分の気持ちをそのまま見て、素直な気持ちを受け止め、自分自身を受け入れられるようになる、とわたしは思います。
分かってくれた。
分かってもらえた。
その経験をすることで、人は自分の内側へと意識を向け、自分の本音に触れて、自分として生きていくことができるようになるからです。
ただ気持ちを聴いてもらってそれで終わりではないんです。
聴いてもらった自分の気持ちを、相手が自分と同じように感じてくれたことで、自分を分かってもらえたと感じること。
自分の気持ちを分かってもらうことで、本人自身が誰かと共に自分の内面に目を向けられるようになることが大切なんです。

自分の内面に触れることは人はとても怖いことです。
ましてや喪失体験をして大きな喪失感を抱えている人にとって、自分の内側を見ることは自分自身の崩壊の危機を迎えるほどの恐怖感に襲われると思います。
だから共に居てくれる誰かの存在が必要なんです。
あなたがあなたを分かるようになるために
誰かと共に安心して自分の内面と向き合う。
そこにグリーフケアのとても大きな意味があるとわたしは思っています。
誰かに話をすることで、
励ましてもらうでもなく
褒めてもらうでもなく
意味付けしてもらうでもなく
分析してもらうでもなく
味方をしてもらうでもなく
アドバイスをもらうでもなく
解決案をもらうでもなく
あなたがあなたの自分の事実を受け止め、
自身の内面と会話できるようになり、
自分のそのままを受け入れていけるようになること。
それこそがグリーフケアの意味だとわたしは思っています。
大事な存在を失うということは、あなたがあなたのことを何より分からなくなる状態になることでもあります。
周りや相手に対して分かってくれないという思いをたくさん感じている時こそ、あなたがあなたのことを分からなくなっている時でもあると思うのです。
分からなくなっている自分のその混乱している内面を見ていくことは、大事な存在を失い、心の支えを失っている状態の人にとって、とてつもなく怖いものです。
それをひとつずつ丁寧に受け止め受け入れていくことは、
ひとりだからできることでもあり、ふたりだからできることでもあります。
あなたのとっての答えはあなたの中にしかありませんよね。
あなたがあなたのことを分かるようになるために、あなたが自分を探しにいく過程を誰かと共に受け止め受け入れていく。
そうすることで自分だけでは圧倒されていた出来事を、あなた自身が何とか受け止められるようになっていきます。
その過程がグリーフケアです。
誰も自分を分かってくれない。
そのように感じる時こそぜひグリーフケアで、その体感をして頂ければと思っています。
どうぞ安心してご相談くださいね。
