誰かと共にひとりであること。

先日、わたしの気持ちをわたしの感じているように言葉にしてもらった経験をしました。

その経験はわたしにとってとても嬉しい体験で、「この人はわたしの気持ちを分かってくれているんだなあ」とグッと心が近づいたのを覚えています。

人は自分を分かってほしいと望むもの

人はこのように、自分の気持ちを自分の温度で分かってもらえた時に、自分を開き、話をしたくなるのではないかと思います。

グリーフの状態にある人にとって「話を聴いてもらう」ということは、自分の感じている温度で相手に自分の気持ちを感じてもらえることであるほど、とても深い意味を持つことなのだと思います。

そしてそれは、そこに全く相手の意志が反映されていないワケではなく、そこに相手がしっかりと存在している。

その体験こそが、誰かと共に居ながらひとりで居ることだとわたしは思っています。

グリーフケアにおいて、まずは話を聴いてもらうことは何より必要なことですが、あなたがあなた自身の複雑で複数ある本当の想いを消してしまわないことが大事だと思うんです。

話すことは、聴いてもらうことから始まります。

人は困った時、悩んだ時になぜ誰かに聴いてもらいたいのか。

それは、自分の内面が今あまりにも苦しいからこそ、その自分の苦しみや痛みを

同じように分かってほしい。

同じ深さで理解してほしい。

と相手にも望むからだとわたしは思います。

なので、自分の内面を話せないという方ほど、自分の感じる温度で自分のそのままの気持ちを聴いてもらった体験がないのかもしれません。

自分を聴いてもらい、自分を話すことで自分の内面に気がつけます。

この、自分を話すことで自分の内面にあなた自身が気がついていくことがグリーフを経験した方には特に大事なことになるとわたしは思っています。

喪失体験をすると、自分の今までの内面が崩壊を起こしてしまうからです。

自分の内面を見る怖さ

今までの自分が壊れることは、自身がどこに存在するのか分からなくなるほどの不安と恐怖を伴います。

この時に、自分で自分をどうにか立て直そうと頑張られる方も多いのですが、どうにも自分ひとりだけではあまりの自分の心の揺らぎに耐えられず、内面までを見ることはとても難しいんです。

あまりの圧倒的な

悲しみや寂しさ

悔しさや後悔

怒りや罪悪感

虚しさや自責

そのような感情に押し寄せられて、全ての感情を埋めてしまいたくなることも多く、内面を見るどころか、自分の気持ちが出てこないように強く抑え込んでしまうことがほとんどです。

これは臭いものには蓋の状態で、とにかく自分の内面を一気に捨てて片付けようとしてしまいます。

そうすると、あなたの心は少し落ち着いたように感じるかもしれませんが、それは無理に自分で心を消そうと努力している状態です。

喪失体験後に起こるグリーフの状態では、断絶された世界や自分自身との関係性を見つめ直すことがあなたは自分の人生から求められます。

その時に、あなたが自分の心を閉ざして捨ててしまったままだと、孤独感をより深めていって、人生から孤立してしまいます。

世界から取り残されたと感じるあなたが本当に求めているものは、助言やアドバイスではなく、今の自分を誰かに正しく解決してもらうことでもないと思います。

誰かに今の自分の本当の気持ちを、今の自分の深さや暗さや渦巻く想いをその温度で分かってもらうことではないでしょうか。

苦しい時ほど、人は自分の気持ちを自分の温度と深さで分かってほしいと望むのは当然のことです。

それは心のどこかに、周りからどのように見えていたとしても自分の本当のところは誰にも分かってもらえない、という孤独感や孤立感を持っているからなのかもしれません。

だからこそ、誰かに共にあってほしいと望むのだと思います。

誰かに自分のそのままを分かってほしいと願うのだと思います。

こうあってほしい自分の理想と、こうしてしまう自分の現実が今のあなたを苦しめているのなら、あなたがその自分を分かっていくために、誰かに同じ温度で分かってもらうことはとても大切なことです。

誰かと共にありながらひとりでいられること

なので、グリーフの状態にある時には、自分の内面を誰かと共に見て、見ても壊れそうなほどに不安で怖いその自分と共に同じ深さで内面の叫びを聴いてもらうことをしても、壊れない自分を確認して、受け止めている自分をあなた自身が認められるようになること。

それが、あなたがグリーフケアに取り組む大きな意味であり、誰かと共にありながらひとりでいられることなのではないでしょうか。

誰かに分かってほしいと感じることは、深い喪失状態にある方にとって当たり前のことなんです。

それは、あなたが自分を投げ出し誰かに甘えてしまうことでも、自分自身から逃げ出してしまうことでもありません。

誰かにあなたを分かってもらうことは、あなたが誰かと共にありながら、誰かと共に自分を感じながら、自分のチカラであなた自身を分かって認めていくことだとわたしは思います。

グリーフケアは、これが正解というカタチは存在しないとわたしは思っています。

だからこそ、あなたがあなたなりのあなたが納得できるカタチを、誰かと共に自分で見つけていくことがグリーフケアだと思っています。

あなたの感じている内面を、あなたと共に感じながらあなたに受け入れてもらうために。

どうぞ安心してご相談くださいね。