味方がほしいあなたへ。

喪失体験後に心が不安定になることは、誰しも経験のあることではないでしょうか。

失ったという事実が自分にとっての絶対的な味方を失ったような気持ちになり、そんな心細い不安に押しつぶされてしまいそうになることは、グリーフの傷を持った方にとっては当然のことではないかと思います。

絶対的な味方がほしい。

わたし自身も喪失体験をキッカケに、自分の心の底にあった「味方がほしい」という想いに気がつきました。

気がついた、というよりは思い出した、のだと今では思っています。

わたしは、幼少期からずっと自分の味方を探していました。

なので、誰か大事な人を失ったり、別れたり、喪失体験を経験したりする度に、自分が世界でひとりぼっちになってしまったような、世界から裏切られてしまったような、そのような孤独や断絶を感じては、その度にあまりの怖さから封印してきたのだと思います。

わたしは絶対的な味方がずっとほしかったのだと思います。

そして、ほしいのと同じくらい期待していたのだと思います。

期待しすぎた分、裏切られたように感じてきたのだと思います。

裏切られたと感じただけ、本当は傷ついていたのだと思います。

そして、それほどまでにわたしが絶対的な味方が欲しいと願ったのは、周りや世界は自分にとって敵の存在なのだと感じてきたり、誰かによって信じ込まされたり、ある出来事をキッカケとして思い込んできたりしたからではないかと今なら分かります。

あなたがもしも今、自分の周りや世界が敵であると感じたり、認識したりしているのであれば、それほどまでにつらく苦しい想いや経験があったからだと思います。

あなたがもしも今、自分の味方がほしいと願っているのであれば、誰かに守ってもらいたいという思い込みや、誰かに守られなければ生きていけないという不安が喪失体験を通してあなたの中から思い出されてきている可能性があります。

それは、あなたがあなたにとっての絶対的な味方になっていないからかもしれません。

自分が自分の敵になっていませんか?

自分と一生を付き合うのは自分です。

まずは自分が絶対的な味方になってあげましょう、とよく言われます。

確かにその通りだと思います。

自分が自分を誰よりも肯定してあげる。

誰よりも自分が自分の味方になる。 

けれど、それがすぐにできることなのであればとっくにやっているであろうし、できないからこそ、絶対的な味方を望む気持ちが出てきます。

自分が自分の味方になるためには、まずは何よりあなたの心の傷の痛みが和らぐことが先です。

実際に脳は身体の痛みと同じように、心の痛みも感じると言われています。

喪失体験で傷ついたあなたの心は、たとえ目には傷跡が見えなくても、痛みを感じているんです。

それでも、そのような時ほどあなたの心の中では

こんなことで落ち込んでいたら生きてなんていけないよ。

これくらいのこと、たいしたことじゃないよ。

痛い時こそ、立ち向かって負けたらいけないよ。

このような声が聞こえてきていませんか?

それは過去にあなたが大人の誰かから言われてきた言葉かもしれません。

脳は主語を持たないとも言われます。

もしもその言われてきた言葉たちを、今でも何度も何度も繰り返して思い出してしまうなら、それは大人のあなたがあなたに対して言っていることになってしまいます。

これでは味方どころか、あなたがあなたの最大の敵になってしまいますよね。

自分が自分に対して敵になってしまう。

これはただでさえ喪失体験で苦しんでいるあなたを、より生きづらくさせてしまいます。

周りや世界が敵であることがどれほど怖いか。

自分が自分の敵であることがどれほど不安か。

これ以上もう傷つかないために、自分を閉じ込めるという自分の気持ちの封印をしながらも、暗闇で誰かに救ってほしいと助けを求めるという心が矛盾した状態が続くことは、現在のグリーフの傷だけでなく、あなたが過去から抱えているグリーフの傷の存在もまた知らせてくれています。

自分が自分の味方になるために。

あなたがあなたの味方になるためには、今、自分は痛いのだ。と自分の痛みをあなたが受け入れることだと思います。

受け入れるだけで味方になれるのかと思われる方もおられると思いますが、味方の存在を感じられないのは、あなたがあなたを大きく責めている可能性があります。

心の傷の存在を受け入れられないのなら、それはあなたが心の底で傷ついている自分を責め、否定し、認めていないことになります。

なので味方の存在を感じられない方にとって、自分の心の傷を見て、知って、受け入れることが何よりも苦しいことだと思うのです。

ましてや大事な存在を失い、心の支えや生きる希望を失った状態であるのなら、人から断絶された孤独で、とてもじゃないけど自分ひとりで自分の心の傷を見るなんて、怖くて仕方のないことです。

今、あなたの心が痛くてたまらないのなら、痛い時に心を酷使する必要はないとわたしは思っています。

ただ、心の中の大人のあなたも、あなたが育てていくことはできるとわたしは思うんです。

だからこそあなたがあなたの味方になるために、そこには誰かのチカラが必要になります。

心がつらい時に自分だけのチカラに頼りすぎると、まさに体調不良なのに誰のサポートも受けずより悪化させてしまい、結果、欠勤しないといけなくなってしまった状態になってしまいます。

あなたの中に自己否定や自己喪失が深く傷になっている時に、自分だけのチカラで自分の味方になろうとすることは、弱っているあなたの心を奮起、鼓舞させることになります。

それは否定している自分をより深く否定したり、失った自分をより強く責めたりすることになり、あなた自身をもっと敵認定していくことになるからです。

あなたの心の中にある周りや世界は敵なのだという気持ちを受け入れていくには、そこに聴いてくれる存在が必要です。

誰かにあなたのそのままの気持ちに寄り添ってもらうことで、あなたもあなたに対して自分の気持ちに寄り添うことができるようになります。

グリーフケアはあなたがあなたの味方になるために、あなたの心の奥にあるままの本当の気持ちを話し、伝え、受け入れていくことをあなたと共にしていきます。

そしてあなたがひとりではないことを感じてもらいたいと願っています。

その誰かのひとりに、グリーフケアを入れてもらえると嬉しいです。

どうぞ安心してご相談くださいね。