心の抜け殻状態というのは、大事な存在を失ってしまった悲嘆反応から起こるものなのですが、大事な存在を失い、これから自分がどのように生きていけばいいのか何も考えられない状態を想像されがちです。
もちろん、自分のことを支えてくれていた存在を失うということは、自分自身の安心感が崩れ、気力がなくなってしまうので、心の危機を迎えてしまうのは当然のことだと思います。
そして心の抜け殻状態というのは実はそれだけでなく、あなたが支えてきた存在を失うことでも起きるんです。
燃え尽きてしまった心。
自身が相手をずっと支えていた場合、喪失体験によって少しの間は自分の時間を持てたりすることで心の負担が軽くなったように見えることがあります。
特に、ずっと看病をしていたり、何かに向けて努力をしていたり、気が抜けないような状況が続いていた場合は、心の緊張感が緩み、不謹慎だと思いながらもホッとしている自分を感じる方は少なくないと思います。
それだけ心の極限状態が続いていたのですから、本来であれば罪悪感のようなものは何も感じる必要はないのですが、喪失体験の場合はホッとする自分を、失ったのにホッとするなんて、と責めてしまうことはよく起こります。
そしてその僅かな休息の時間を持っている時に段々と自分に違和感を感じてくるという方は、自身が支えてきた存在を失ったことで心が抜け殻状態になっているのだと思います。
なぜ支える必要がなくなったのに、心が抜け殻状態になってしまうと思いますか?
それは、
誰かや何かを支え、助けること。
誰かや何かのために頑張り、努力すること。
誰かや何かにとって役に立ち、有益になること。
によって、あなた自身が自分自身の価値であったり、存在意義であったり、肯定感であったり、という心の支えをもらっていたからかもしれません。
自分に対する価値や意義や肯定をくれる存在を失ったことによって、あなた自身の根底が揺り動かされてしまい、心の抜け殻状態が引き起こされてしまうんです。
この状態は燃え尽き症候群とも言われます。
実はこの状態になることのひとつに、自分の価値や意義や肯定をもらえなくなったことがきっかけとなって、本来の自分の心の癖が強く出てくることから起こるのではないかとわたしは思っています。
喪失体験が起こり燃え尽き症候群になっている、というよりは、喪失体験が起こったことによって、あなたの今までの人生において、自身が何を信じて、何を思い込んで、どのように生きてきたのか、が浮き彫りになってきたのだとわたしは思っています。
抜け殻の心があなたに伝えていること。
もちろん喪失体験を経験したあなたが抜け殻状態になることは、あなたが悪いからでも、あなたのせいだからでもありません。
けれど失った今でも尚、あなたの中からもしも
頑張ることに疲れたのにやめられない。
誰かのために何かを頑張りたいけれど何もできない。
夢中になれる何かを見つけたいのに見つからない。
という矛盾の状態が続いているのであれば、もしかすると
誰かを支える自分。
誰かを助ける自分。
誰かのために頑張る自分。
誰かのために努力する自分。
誰かにとって役に立つ自分。
誰かにとって有益な自分。
という過去からのあなたの信念という根っこが、今の喪失体験を経験したことで崩れてしまい、自分の価値を信じられなくなったり、自分が何のために生きているのか分からなくなったり、自分が自分であることをゆるせなくなったりして、その結果、心が抜け殻になっているのかもしれません。

抜け殻の状態は、今までの自分が頑張りすぎてきたことにより、今の自分が燃え尽きてしまったから起こっているのだと理解することはそう難しくはないと思います。
けれど、だからと言って頑張ってきた自分を何もしなくていい状態にすることは、あなたをより深くつらく苦しい状態にしていくことになります。
それはなぜかと言うと、
何もしない自分を作り出すことで、自分を何の価値もない人間という失望感、生きる意味はないという不安感、自分はここに居てはいけないという恐怖感、も同時に作り出してしまうからです。
自分では、どれだけもう誰かのために何かをしなくてもいいのだと思ってみても、今の自分の現状である、支えられない自分や頑張れない自分を責めてしまうからです。
誰かを助けられない自分に価値を感じられないし、誰かのために努力できない自分の生きている意味が分からないし、誰かにとって無益である自分を誰よりも自分がゆるせないからです。
なのでもう頑張れないと感じながらも、頑張らない自分に危険を感じてしまい、どちらの方向にも同じような力で引っ張られてしまい、何もしていないように見えても、心がものすごく消耗してしまっている状態こそが、本当の心の抜け殻状態なのではないかと思います。
自分のためにできること。
頑張ることにもう疲れているのに、頑張らない自分をゆるせないと感じるのは、あなたがそれほどまでに今まで誰かのために生きてきたからだと思います。
誰かのために何かができることは本来とても素晴らしいことだと思います。
それでも、もちろんそれはあなた自身のためでもいいし、何かができてもできなくてもそれはあなたの価値や存在意義とは関係のないものです。
けれどあなたの過去において、誰かのために頑張ることにあなたの価値や存在意義の全てが組み込まれてしまい、あなた自身もそれを当然のことだと信じてきたのだと思います。
それはあなたのせいではありません。
そして、変えなければいけないものでもありません。
今のあなたに必要なのは、
今までずっと支えてきたあなたを、あなたが知ってあげること。
今までずっと助けてきたあなたを、あなたが分かってあげること。
今までずっと頑張ってきたあなたを、あなたが受けとめてあげること。
今までずっと誰かのために生きてきたあなたを、あなたがゆるしてあげること。
そのように、あなたがあなたのままを丸ごと受け入れてあげることだとわたしは思います。
それには、今の喪失のつらさや苦しみに加えて、今までの自分がどれほどの思いを本当は抱えてきたのかという悲しみや痛みというような、癒しとはかけ離れたものも伴うことがあります。
それほどまでに、これまであなたが頑張って生きてきたからだとわたしは思います。
ただでさえ頑張って生きている中での喪失は、あなたの心をより孤独にしやすくなります。
それほどまでにあなたの心は、ずっとひとりで頑張ってきたのだと思います。
だからどうか、もうあなたの心をひとりぼっちにしないであげてください。
あなたの言葉にならなかった言葉や想いを誰かと共に分かち合うことで、あなたの心はひとりぼっちにはなりません。
心をひとりぼっちにせず、誰かと共に在ることは、抜け殻のあなたにあなた自身を戻していくことだとわたしは思います。
グリーフケアはいつもあなたと共にあります。
どうぞ安心してご相談くださいね。

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