喪失体験で大事な存在を失うと、あまりにもつらく苦しい今の現実に、誰かに話を聴いてもらいたいと感じることも多いと思います。
けれど、そのような追い詰められた状態でも、誰にどこまで話していいのか分からなくなる、話してみても相手からの叱咤激励に傷ついてしまう、相手に重いと感じさせてしまうかもしれない、そのような経験や恐怖感が続くと、人に自分の気持ちを話すことはもちろん、人そのものが怖くなってしまうことがよく起こります。
神様との取り引き
喪失体験は、わたし達の心と身体に大きな衝撃を与えます。
お願いだから夢であってほしい。
帰ったら今でも部屋から出てきそう。
毎日が記念日反応のようで心が追いつかない。
そのように話される方の心の中は、
今でも全く信じられない。
という状態にも関わらず、
思い出さない日はないほど現実に引き戻される。
というような大きな葛藤の中に身を置いていることがほとんどです。
その葛藤の揺れ動く日々の中で、
他のことは何でも差し出すから、あの人だけは返してほしい。
どんなことでも何だってするから、あの人をここに戻してほしい。
そのようにまるで、神様と取り引きするかのようにあの人がここに帰って来てくれることをずっと望むことはよくあります。
現実とどうにか折り合いをつけようとしている姿は、どれほどまでに毎日を気を張って、心を削りながらやり過ごしているのかと、その大きな苦悩に、つらい、かなしいという言葉だけでは追いつかない深い想いを感じます。
それでも取引のようなことを心の中で続けてしまうのは、本人にとっては、失ったのだとどれだけ頭では分かっていても、そうしなければ自分の気持ちがどこにも向かいようがないからです。
人が怖いという心理状態
取り引きをしても何も変わらないのだと分かりながらも、それでも泣き叫びながら何でもするから返してほしいと願うあなたの姿に、周りの人は心配したり、声をかけてくれたり、話を聴こうとしてくれることがあると思います。
そのように、本人としては勇気を出して自分の内面を吐き出そうとしてみても、
いつまでも泣いていても仕方がない。
こちらに言われても重い気持ちになる。
前を向くことも必要なのではないか。
というような相手からの対応や反応が返ってくると、傷つきながらも、いつまでもそのように願い続ける自分がおかしいのではないか。と考えるようになる方はとても多くおられます。
人は、
頭では分かっていても、心が納得していないことを受け入れることはできないとわたしは思います。

今のあなたは、頭では理解していると自分で自分に言い聞かせながらも、本当はこのつらすぎる現実をとてもじゃないけれど受け入れることなどできるわけがない。
そう感じているのだと思います。
それでも、どう過ごしてもあの人だけが居ないこの世界に何とか折り合いをつけようと混乱しているからこそ、心の中で叶うことのない願いや取り引きを続けています。
これは、あなたがあなたの心を守るために必要なのだからであって、今の事実を受け入れられないあなたが悪いからではありません。
だからこそ、今のあなたのこの心の揺れ動きは今の自分には必要なことなのだと、あなた自身に伝えてあげる必要があります。
今の自分がおかしいのではなく、今のあなたにとってこの現実が何よりつらいからこそ、こんなにも苦しんでいることをあなた自身があなたに認めてあげる必要があります。
そこに対して、抵抗があったり、そんな訳がないと、受け入れることがとても難しく感じるのなら、まさに今のあなたは人が怖いという状態にあるのだと思います。
人が怖いと感じる時に考えてみてほしいこと
喪失体験後に「人が怖い。」そのような気持ちになるのは当然のことです。
あの喪失を思い出さない日はないのに、ずっと同じことばかりを考えることはよくないと周りから言われ、
泣きたいけれど、その胸の内を話すと泣いてばかりではいけないと叱咤激励され、
話したところで、重いと思われそうで誰にどこまで話していいかさえ分からなくなってしまう。
そのような疑心暗鬼の日が当たり前になっていくと、身近な人ほど分かり合えないと感じたり、
周りの人からの心ない言葉に怯えるようになったりして、段々と人そのものが怖くなってしまいます。
人が怖いというよりも、人と関わることが怖いと感じやすくなるのかもしれません。
人に対する不信感や恐怖心で心がいっぱいになっているのに、
そのように感じてしまう自分がおかしい。
自分が悪い。
と自分に矛先を向けることで、どうにか心のバランスを取ることが起こりやすくなります。
人が怖いと感じるのは、喪失したあなたにとって何もおかしなことではありません。
人が怖いと感じながらも、あなたは今まで日々をどうにか過ごしてきた。
これもあなたの強さであり、あなた自身のチカラだとわたしは思います。

怖くても今まで何とかやってきた。
そのあなた自身の道のりまでも否定する必要はありません。
できなかったことも、
思うようにならなかったことも、
分からないと感じたことも、
喪失体験をしてから多くなったと感じることはあると思います。
それでもその中で凌いできた自分がここに存在していることにも、しっかりとあなた自身が目を向けてもいいとわたしは思うんです。
人が怖いと感じるあなたがおかしいのではありません。
今、わたしは怖いんだ。
ということを、あなたがあなたに納得してもらうことが大切だと思います。
そもそも心が恐怖心でいっぱいの時に、新たな恐怖心を受け入れることはできないとわたしは思います。
まずはあなたの心の中に深く根付いているその恐怖心を、そのまま誰かに受け止めてもらうことが必要だと思います。
グリーフケアでは、あなたのその恐怖心をゆっくりと伺います。
その際に、あなたがあなた自身に集中できるように、心を込めて聴かせて頂きます。
あなたのその怖さ、その苦しみを置いていける場となるように。
グリーフケアはいつもあなたと共に在ります。
どうぞ安心してご相談くださいね。

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