周りとうまくいかないあなたへ。

喪失体験をすると、「うまくいかない」という感覚を感じることが増えると思います。

そもそも、経験した喪失体験そのものがうまくいかないと感じる大きな原因にもなっていますが、話を伺っていると、うまくいかないのは自分との折り合いだけではなく周りとの関係性に対しても感じておられる方も多くおられる印象です。

投影という心のスクリーン

周りの人から言われた何気ない言葉に傷ついた。

あの人の行動に大きな嫌悪感を感じた。

そのように話をされる方から、相手や周りからの言動に違和感を感じたり、傷ついたりしたことで周りの人とうまくいかない。うまくやれない。距離を置いてもモヤモヤしてしまう。

そのような日々が続くことで沈んだ気持ちになってしまう、というおつらい気持ちを伺うことがあります。

自分に対するガッカリした気持ちや、相手に対する腹立たしい気持ちに、周りとの距離を置いた方がいいのかと悩まれることもあると思います。

その気持ちは正直なものだと思いますし、ただでさえ喪失で傷ついている時に、周りの人からの言動で傷つくことは、心が持たないように感じるのも当然のことだと思います。

その上での話ですが、今回はうまくいかないと感じる気持ちの中に、あなたの心にまだこの喪失体験での、納得をしきれていない気持ちや、残ったままになっている想いや、抱えたまま蓋をしている本音が、周りの人に対する責めの気持ちや怒りの感情となって、外側へと出ようとしているという可能性のお話をします。

人の心には「投影」という働きがあります。

自分の心に見たり思っている感情に対して、相手や周りの人たちも同じように見て思っていると当然のように感じるシステムなのですが、これは喪失体験をしてもあなたの心でも変わることなく起こっている反応です。

あなたが今、周りの人とうまくいかないと感じている背景には、もしかするとこの投影が影響している可能性があります。

今の傷ついた気持ちのように思えても、それが過去に感じていた忘れられない感情であったり、自分が意識せずに感じていることや思っていることが相手や周りの人たちもそのように感じたり思っているに違いないと思うこの投影は、喪失体験で悲嘆反応を感じている方にとって、とても影響が大きいんです。

喪失体験で心が傷ついている時には、今まで抑え込んでいた過去からの思い込みがそもそも出やすくなる時でもあります。

感情は咀嚼したり、吸収したり、取り入れることはできても、消えて無くなることはありません。

むしろ、自身が取り込むことができない感情は、しっかりと心に残ります。

今の納得できない感情と、過去からの消化しきれない感情が重なり、傷ついた心というスクリーンに傷がくっきりと映し出されてしまうからです。

傷ついた心のスクリーンに映し出されるもの

喪失後、どうにか必死の思いで過ごしている時に「そろそろ落ち着いた?」と周りの人から声をかけられ、落ち着く時なんてないのに、と傷ついた。

何もやりたくない時に強引に誘われて連れ出され「少しは元気になった?」と質問をされて、元気になんてなれるはずがないのに、と腹が立った。

そのような経験をされる方はとても多くおられます。

そっと見守ってほしい。

今は放っておいてほしい。

そう思いながらも、周りの反応に大きく傷つくこともあると思います。

それは相手が無配慮で無神経だからでもないし、あなたが繊細すぎて被害者になっているからでもないとわたしは思います。

今のあなたの心のモヤモヤは誰のせいでもなく、それぞれが起きた出来事に対して、投影という自分の心の反応で相手を見ているから起こっている、ということを知っておくことは、あなたがあなたを責めすぎないために大切なことだと思います。

もちろん、悪意のある人や考えの偏りの強い人、人の気持ちに無関心な人などは一定数は存在します。

そのような人たちと距離を置くことは、自分を守るためには必要なことだと思います。

それでも、この世界の全ての人があなたに対して心ない言動をするかというと、そうは限らないとも思います。

なので、うまくいかないことや人があっても、本来は全てのことや人と距離を置いたり離れたり、関係性を切る必要はないはずなんです。

きっと今、あなたの心は喪失によって大きく反応している投影があるのだと思います。

今のあなたがもし、周りの人たちとうまくいかないと感じている現実があるとするなら、そこにはもしかすると、あなたに残っているままの過去の心の傷を、投影で今の現実世界に映し出しているからかもしれません。

あなたが自分のことを、周りの人が

大事にしてくれない。

守ってくれない。

分かってくれない。

という気持ちを本当は今までずっと感じてきたのなら、

今のこの世界でも、人というものは常に自分に悪意を持って傷つけてくると認識してしまっている可能性があります。

そして、周りに対してだけではなく自分に対しても、

傷つけられても仕方ない。

相手は自分を傷つけてくる。

と自分は傷つけられても仕方のない人間なのだと思い込むようになります。

その過去からの、周りや自分に対してのかなしみや怒りや憤りはそのまま投影となって今のあなたの心に映し出されていきます。

本心では自分が怒っているのに、相手の方が怒っているように映し出されたり、逆もまた真なり、で相手が自分を怒らせてきているようにあなたの心に映し出されていきます。

投影があなたに教えてくれること

今のあなたが何に対しても大きく反応してしまい、

そっと見守ってほしい。

今は放っておいてほしい。

こんな声をかけてほしい。

こう気遣ってほしい。

そのような気持ちが大きく強く出てくるのなら、喪失体験からの今の心の傷だけが溢れているのではなく、あなたの今までの心の傷も強く疼いているのだとわたしは思います。

過ぎてしまった心の傷など今さら思い出してもよりつらさが増してしまうと感じるかもしれませんが、この投影という心のシステムはつらいだけではなく、あなたの本当の気持ちにあなたが気がつくことができるものでもあるんです。

そして、あなたの本当の気持ちにあなたが気がついてあげることは、あなたがあなたのつらい気持ちに寄り添えるようになっていくことでもあります。

あなたが本当は周りに対して怒っているように見えて実は、あなたが過去に傷つけられたことに対する怒りの気持ちがそのままに残ったままの状態から起こっていることも多いものです。

あなたのその今までの本当の気持ちに、誰からも寄り添ってもらえず何も分かってもらえなかったと感じているのであれば、今のあなたに必要なのは、無神経に感じる周りと距離を置くことよりも、

ひとりぼっちであった心に、誰かと共にあなた自身が寄り添って分かってあげることだとわたしは思います。

あなたの傷ついた心をひとりぼっちにしないために、まずは今のあなた自身が誰かに寄り添ってもらい、分かってもらう経験をすることで、あなたがあなたの心をひとりぼっちにしないということがどういうことなのかを自分で分かるようになっていきます。

あなたのその「うまくいかない」と感じる気持ちには、あなたからあなたに対する「分かってほしい想い」があるのだとわたしは思います。

喪失体験では、失ったことばかりに目が向きやすくなることは当然のことです。

だからこそ、ぜひそのあなたの本当の想いをグリーフケアで見つけ、あなたの心に紡いでほしいとわたしは願っています。

グリーフケアは、いつもあなたと共に在ります。

どうぞ安心してご相談くださいね。