アイデンティティクライシスとは

アイデンティティクライシス

仕事を失った。
健康を失った。
お金を失った。

これからも同じ毎日が続くと思っていた日常を失った時、
人はこれからどうやって生きていこう?
もう自分は終わりかもしれない。
という危機を感じてしまうということは良くあることです。

それは仕事や健康やお金と言うものが、
人間のアイデンティティと深く結びついているものだからです。

だからこそアイデンティティクライシスとは、
大きなグリーフ体験である ” と言われています。

アイデンティティクライシスとは?

アイデンティティクライシス
アイデンティティクライシス
アイデンティティクライシス

アイデンティティクライシスとは
一言で言うと「自己同一性の危機」

つまり

  • 自分は何者でこういう人間
    という自己認識
  • 自分が周りに受け入れられている
    受容感覚

これらが崩壊した状態に陥ることを言います。

このアイデンティティクライシスの状態に陥ると、
自分とも周りの人とも世界とも関係性が断たれた感覚になり、

  • わたしにはできるという自己重要感を失う。
  • わたしはここに居ていいという所属感を失う。
  • わたしはわたしでいいという自己肯定感を失う。
  • わたしを気にかけてくれているという関わりを失う。
  • わたしは人と助け合えるという繋がりを失う。

という深いグリーフの痛みを抱えた状態
になると言われています。

グリーフの痛みを抱えた状態

だからこそアイデンティティクライシスの状態に陥ると、
悲しみや虚しさや怒りなどの色々な感情が次々と心の中に渦巻いたり、現実否認や感情の抑圧などをして自分の気持ちを避けたり転換したり、
というような混乱した状況が続き、
そのあまりの心の傷のために、なかなかその状態から抜け出せないまま、鬱になってしまうという人もいるほどです。

中高年の方に多い鬱には、このアイデンティティクライシスが大きく影響していることが多いと言われるのはその為です。

鬱

アイデンティティとは?

そもそもアイデンティティとは、
次のような意味があると言われます。

自分が自分であること、またその自分が他者や社会から認められているという感覚

他者とは異なる独自の性質や、自分を他者とは異なるものと考える明確な意識

自己同一性や主体性、つまり「さまざまな個性をもつ他者・社会との関わりにおける自分らしさ」

この文章からも分かるように、アイデンティティとは自分自身だけで確立されるものではなく、自分と他者、社会との関わりの中で「自分とは何か?」「自分の価値とは何か?」という問かけを続けながら確立し築いていくものということが分かります。

人は人の中で生きていく社会性を持った生き物ですので、これは当然の事と言えます。

どういう人が
アイデンティティクライシスに
陥りやすいのか?

アイデンティティクライシス
アイデンティティクライシス

例えば、その人が『他者からの関わり』や『他者からの評価』、『社会的地位』などに価値が傾いている場合、があるとします。
それが仕事やお金や健康など、それらの失ったものが「自分自身の存在意義」に結びついていると、

自分を情けなく感じたり
みじめさが溢れたりして
どうせ自分はダメなんだ
やっぱり自分には出来ない

という自己否定でいっぱいになってしまう
という事が起きやすくなります。

そしてその強い自己否定や落ち込みは、今の喪失をキッカケにして、「あなたの過去からの思い込み」が噴出していることが多いのです。
その過去の思い込みこそが、あなたの今の喪失体験によって思い出されている過去のトラウマ体験であり、心の傷です。

この過去の思い込み、心の傷を抱えている人に、アイデンティティクライシスはより強く出やすいとわたしは考えています。

アイデンティティクライシスを乗り越える女性
アイデンティティクライシスを乗り越える女性

アイデンティティクライシスを
乗り越える力とは?

アイデンティティクライシスは、人間が生きている限り、大なり小なり必ず起きるものです。

いつまでも健康でいられる人は少ないでしょうし、、仕事やお金についてもいつまでも安心していられる、という事いうこともこれからの時代は特に難しいかもしれません。
生きている限り、人生に何かの変化が起きるということは避けられません。

だからこそ、自己喪失という強い体験をした時に、自分がそこから立ち直っていけるために心の傷を癒し、傷ついたアイデンティティをもう一度自分の手で築きなおしていけるような、心のレジリエンス力が必要になってくるわけです。

自己否定が強く、過去に沢山の心の傷を抱えたままの人達は、ひとつの喪失をとても大きなものに捉えがちになります。

「今までの自分を失う」という経験がアイデンティティクライシスに繋がってしまうのは、ひとえにあなた自身の心に何らかの過去からのトラウマや喪失体験などの心の傷があるからです。

その過去からのトラウマや心の傷を癒すことで、アイデンティティクライシスを乗り越える心の強さを育てる事が出来、もう一度自分のアイデンティティを作り直す心の余裕が持てるようになっていきます。

変えるのは「過去」ではなく
「自分への思い込み」

自己否定が強い人は、アイデンティティクライシスが起きた時に、今までの自分がダメだったのだと自分の過去を否定し、自分を全てを変えようと努力しがちになります。

しかし。
変えるのはあなたの過去ではなく、自分の認識や自分への思い込みです。
必要なのは自己否定している自分から、自己受容している自分に意識を変えていくことです。

必要なこと

自己否定している自分

自己受容している自分

自己否定

過去の自分を振り返り、
よくなかったところ
見直していくところ
を反省し改善していくことはとても大事なことだと思います。
しかし、それが過去の自分を悔い改めるだけになってしまうと、今までの自分のことを大きく否定する事になってしまいます。

あなたの過去を否認して消そうとする努力は、自己否定を強めてしまうことになり、より一層、空虚感や不足感を深めてしまう事があるので危険なのです。

自己受容

そしてこの過去と向き合う時見えてくるのは、あなたが強く否定しているのは自分の行動や考え方だけでなく、本音や感情といった「自分自身」であることも多いものです。

わたし自身も、自分の過去からの思い込みを自分で受け止め、受け入れていくことで、今の自分の状態の心の見え方が変わっていくことを、自分の経験だけではなく、周りの人からも学んできました。

だからこそ、まずあなたがあなたにできること。
それは自分に起こったことを自分が受け入れていく、という自己受容です。

話を聞いてもらう女性

自分の人生や自分自身を受け入れる、というのはとても大事なことです。
そしてそれは自分にとって、理不尽とも思える出来事が起こった時ほど大事になってくる、とわたしは思っています。

アイデンティティクライシスが起こっている時、人はその心の傷のためにその傷を隠すために、人を避けてしまいたくなるという事も多いものです。
しかし人のアイデンティティの構築には、人との繋がりや人との関係性が必要であるからこそ、本当はこの壊れた時ほど人の手を借りる事が必要です。

誰かにしっかりと気持ちを聞いてもらうこと。
誰かにゆっくりと本音に寄り添ってもらうこと。

そうすることで、あなたが自覚していない本音の気持ちや、あなた自身の肯定的な部分に、自分が気がつくことができ、心の傷はゆっくり回復していきます。

この喪失体験から自分を知ること。
あなたがあなたと共にあること。

あなたの自分を受け入れるチカラを育み
回復していくその過程を、あなたの心と共に
精一杯サポートさせて頂きたいと
思っております!

安心してご相談下さいね。